[芹香編] 第5章 芹香side

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「その日は結婚式なんだ」 …と昂さんは言った。 たかが叔母さんの結婚式で、 なぜか彼がソワソワしているように見え、 不審に思いつつも、パソコンを閉じる。 うん、映画なんかいつでも観れるし。 あまり恋人っぽいことをしていないから、 たまにはデートらしいことをと思い、 初めて勇気を出して、 私から誘ってみたのに。 断られるなんて想定外だったけど、 …まあ、しょうがないよね。 「芹香さん、そんなウジウジしないでよ」 「ええっ、私が?!」 リビングのソファの上で、 体育座りしながら遠い目をしていると、 華子ちゃんからそう指摘された。 この華子ちゃん、 西村さんと両想いになったのに、 このままココで住み続けるのだそうだ。 なんだかよく分からないけど、 クソ真面目な西村さんが、 マンションでの2人暮らしを拒否したと。 「華子が俺の寝込みを襲って来そうでさ。 ただでさえ添乗とかで不規則なのに、 私生活まで乱れたら、体力もたないから。 それにココだと俺が添乗のとき、 華子を1人にしなくて済む」 …という理由らしい。 あのね知ってる?西村さん。 人間ってさ、肝心なことは後半に言うの。 結局は華子ちゃんを 1人にしたくないんでしょ?
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