[芹香編] 第5章 芹香side

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…正に陰と陽。 ニコニコしている西村父母と華子ちゃん。 それとは対照的に暗い顔をした西村さん。 熱いお茶を出したところ、 4人とも一斉にそれを飲み、 揃って舌を火傷したようだ。 その状況で、まずは西村父が口を開く。 「あの、本当にご迷惑じゃないですか? 和哉どころか華子までお世話になって」 「はい全然。心配なさらないでください」 「ウチに住むのが嫌だなんて、 ほんと情けない話なんですけどね。 和哉も華子もどうしても出て行くって…」 「ええ、事情は聞きましたから」 もしや西村父、アルコール入ってる?? 入ってなくてこのハイテンションなの? 視線を西村さんに向けると、 彼はゆっくりとこう言う。 「お義父さんには悪いけど、 俺は静かな生活がしたいんだよ」 「そ、それなら頑張って静かにす…」 ここで華子ちゃんも会話に割って入る。 「ムリ! お父さん、絶対に酒盛り始めるもん。 私さあ、今だから言うけど、 巽おじさんとかが酔って野球拳するの、 大嫌いなんだからッ。 おじさん、ベロンベロンに酔うと 私の前でも平気でパンツ1枚になって、 大声で歌い出すでしょ? ほんと、有り得ないし。 ちょっと貞操の危機も感じるわ」 「アホか華子。 巽には恋女房がいるんだぞ。 お前みたいなガキンチョ、相手にするか」
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