[芹香編] 第5章 芹香side

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しばらくシーンとしていた。 それから西村さんが微かに背中を丸め、 こう言う。 「…なあ、昂くん。 家族は作れるんだよ」 予想外の言葉だったのだろう。 昂さんは戸惑った表情をしたかと思うと、 困ったように笑った。 ゆっくりと静かに、西村さんは続ける。 「どう育ってきたかなんて問題じゃない。 これからどう生きるかが問題なんだよ。 好きな女性と結婚して、 可愛い子供が生まれて。 昂くんはそうして家族を作れるんだ。 2つと同じ家族なんか存在しない。 それぞれがそれぞれのルールで、 家族を作っていくんだから。 心配しなくても大丈夫。 意外と未来は明るいんだぞ。 苦労したぶん、幸せが返って来る。 もう遠慮せず幸せになっちまえよ」 …ひっく、うっぐ。 このとき、 どこからか嗚咽が聞こえて来て。 気付けば西村母が大号泣していた。 「か、母さん??なんで泣いてんのさ」 「…だ…もん」 「なに、聞こえないんだけど」 「うぐ、ひっ、だ…って、 和哉ったらお父さんにソックリで。 血は争えないって思ったの~」
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