[芹香編] 第5章 芹香side

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そう言われた西村さんは妙に嬉しそうで。 泣いた照れ隠しなのか、 急に西村母は意味不明な世間話を始め。 それから延々と1時間もフルで喋り倒し、 名残惜しそうに帰って行った。 「…ふう。賑やかなご両親だったねえ」 「んー。あ、芹香ちゃん、あのさ俺…」 昂さんが何かを話し掛けたそのとき、 見送りに出ていた西村兄妹が戻って来る。 そして、西村さんが語り出すのだ …実の父親のことを。 「昂くんには知って貰いたいんだ。 ウチの家族はダメ家族だった。 失敗例なんだよ。 でも不思議といま、俺は幸せな気分で。 そう考えると失敗でも無いのかなって。 何が幸せで、何が不幸かは、 自分で決めることだから。 ねえ、昂くん。 ここで俺たちが暮らし始めたのは、 本当に偶然だったのかな? 両親がいなくて『家族』に憧れたキミと、 両親がいたけど『家族』に失望してた俺。 それぞれに好きな相手もいて、 それぞれに尻込みしてる。 その尻込みしていた理由もまた、 『家族』だったなんてさ。 …今なら素直に言えるんだ。 俺は華子が好きだよ。 俺は華子を幸せにしたい」
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