プロローグ 地球へ……

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_Gaia/side_ 地球最大の軍事力を持ちながら、地球で戦争から最も遠い国、日本。その軍事力は、前政権の自由国民党が掲げてきた隣国による内政干渉に対応するため、前身組織自衛隊の行動範囲を広げ、専守防衛でやられ放題の状態から脱却するために、永らく変えられなかった憲法を改正し、日本国防衛軍が発足したのだ。 しかし、戦争法案反対、徴兵制反対と言った革新派を中心としたデモが全国で起こり、かつメディアが反政府的な放送しかせず、革新派によるネットワークの強制規制により、現政府である共産民主党が与党となり、防衛軍は存在の危機に直面していた。 『おい、まぁたニュースでバカ言ってるよ似非日本人総理が。』 そう呟いたのは防衛軍の若き戦闘班長、空見新八だった。彼は現政府を非常に嫌っている。戦争法案と宣う憲法改正に反対した現政府が発足して以来、不法移民、隣国二国からの不法滞在者による犯罪が増加していた。新八は知っている、隣国のスパイたるメディアと現政府が日本を属国にしようとしている事を。 『言うな空見。あんなのでも一応防衛せにゃならんのだぞ?まあ完全に従う義理はあっても義務は無いがな。』 憲法改正により、防衛軍はある程度の自主権を持てるようになった。革新派の政府がなっている現在でも、彼らがどうにか存在し得ているのは、三ヶ年独立行動権と呼ばれる制度があるためだ。 基本的に文民統制たる日本の防衛軍であるが、政府に不満を抱いている場合は全幕僚級の号令一致により三年の間、政府の指示から独立可能とするものである。これにより災害派遣が迅速に行われ、存在意義を持てるはずだったが、メディアは一切報じず、現政府も三ヶ年独立行動権の失効と共に防衛軍を放棄しようと明言したのだ。 『奴ら、日本を破壊したくて堪らねぇんですよ!アカの連中が与党になって、国が崩壊に追い込まれるなんざあっちゃならんでしょう!武力介入でもして』 『空見、それではいかん!現在前政権だった自国党が草の根活動で防衛の意義と現政府の正体を暴こうとしているんだ。幾ら我々が鷹派とはいっても、政は文民が持つもの、いらん事は口に出すものじゃない。』 防衛軍第七防衛隊隊長、磯山三四郎が猛る新八を諌める。しかし彼も新八の言う事に理解は示してはいた。国が乗っ取られようとしているこの時に、迂闊に動けぬ軍の今に。 →
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