最後のプロポーズ

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その後も玲奈と僕は、時々一緒に飲みに行ったり、玲奈が夜バイトしているスナックに顔を出したりしていた。 僕は、玲奈と一緒にいる時間が楽しくて、この時間がいつまでも続くといいなぁと思っていた。 ある日、僕はいつものように玲奈と飲みに行こうと思って玲奈にメールを送ると玲奈から返事が返ってきた。 「実は、体調が悪くて入院しているの…」 僕は心配になって、玲奈が入院している病院を聞いて、お見舞いに行った。 病室のベットで横になっている玲奈を見ると、どこか弱々しい感じに見えて、僕はさらに心配になった。 玲奈に病気の様子を聞くと、 「最近咳き込む事が多かったんだけど、日増しに咳がひどくなってきているの…  たぶん肺炎で、たいしたことはないと思うよ!」 という答えが返ってきた。 僕はその後も玲奈のことが心配で、病院にお見舞いに通ったが、病気は良くなっているように見えず、玲奈は日増しに衰弱しているように思えた。 ある日病院に行ったとき、玲奈のおかあさんがいたので、僕は玲奈の病気のことを詳しく聞いてみた。 するとおかあさんが、玲奈のことを正直に打ち明けてくれた。 「実は娘の病気は、肺がんなのです。  すでにステージ4の状態で、お医者様からは手の施しようがないと言われています。」 僕は、頭の中では予想していたとはいえ、実際に真実を告げられるとショックが大きかった。 おかあさんに肺がんで助かる見込みがないことを玲奈本人が知っているのかと訪ねると、本人も承知しているという話だった。 僕は、玲奈の気持ちを思うと自分は悲しんではいられないし、玲奈に何かしてあげることはできないかと思うようになった。
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