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ある日、部活が終わって自宅に帰るとき、一緒に帰ろうと玲奈が声をかけてくれた。
僕は、いつものことだと思ったけれど、この日の玲奈は違っていたようだ。
玲奈は、少し神妙な面持で僕に話しかけてきた。
「実は、ひろに大切なお願いがあるんだけど…」
僕は、あまり気にせずに、
「何、お願いって?」
と聞き返した。
すると玲奈が、手紙が入っているであろう少し小さな封筒を僕に渡してきた。
「これを、ひろと同じクラスの黒崎君に渡してほしいの…」
僕は、この手紙はラブレターだろうと察して、少しショックを受けながら、
「自分の手で、渡せないの?」
と少し拒絶した態度をとった。
すると玲奈が、申し訳なさそうに僕に頼み込んできた。
「まだ黒崎君とは話したことないし、恥ずかしくて…
こんなこと頼めるのは、ひろしかいなくて…」
僕は、できるだけ平静をよそおいながら、
「いいよ、明日渡しておくよ!」
と返事をして手紙を預かった。
この日の僕は悲しくて、夜なかなか寝付けなかった。
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