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(そうか、だからヤる時ヘッドホン外したのか)
初めての体験をした祥は混乱し、痛くて苦しくて仕方なかった。そんな心の声を全て聞いていたら、園山だって平気ではないはずだ。自らを傷つけてまで祥と離れ、距離を置こうとしていたなんて。
「そういうのもう止めろよ。一番辛いの園山じゃんか……」
「でも、傷付くのは慣れたから」
それでは駄目だ。慣れた、の一言で片付けてはいけない。自分は恋人なのだから、園山を傷つける全てのものから守りたい。
祥にできることといえば、話を聞いてそばに居てあげること位しかないけれど。そんなことでも、役に立てるのなら――――
「その……な…永緒が、今まで耐えてきたこと、これからは俺と二人で分ければ、少しは気が楽になるんじゃねーの?」
園山の名前を口にした時、体温が一段と上昇してしまったのが自分でも分かった。
だがそれと同時に、背中から響くもう一つの鼓動が早くなったのを感じる。
「うん。ありがとう、祥」
名前を呼ばれた瞬間、胸の奥から暖かいものが湧いてきた。
友達だった園山が、今日からは恋人になる。
永緒と、恋人になれる。
顎を掬い上げられた祥は、自然と目を閉じていた。
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