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「あぁ。お前の苦労なんて、俺には分かんないかもな……。でも今みたいに言ってくれなきゃ、余計分かんねーんだよ。もっとお前の声を聞かせろッ!」
「……」
園山は顔を背けようとする。だがその前に祥の手が出た。
「いつまでこんなモン付けてんだ。とっとと外せ!」
祥はヘッドホンを剥ぎ取ると、それを地面に叩きつける。
「! ちょっ、何して――」
「よく聞け! お前が、心の声が聞こえるせいで悩んでるって言うなら、俺の声以外聞かなきゃいいんだよ!」
「えっ……?」
「分かるんだろ。聞こえるんだろ、俺の気持ち!」
そう、祥の答えは――――
(……園山、お前が好きだ)
心の中で唱えた瞬間、心底驚いたような表情が目の前に現れた。
「う、嘘……」
「嘘なんかじゃない。お前が好きだ」
初めて園山の笑顔を見たときから、もうすでに祥の恋が始まっていたのだ。
無表情だった顔に、あの穏やかな笑みが咲いて。普段とは違う姿を見せられ、一目惚れしてしまったようだ
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