友情の亀裂と頼れる存在

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転校先の中学で上手くやっていけていると感じている俺は、この先も平穏な毎日が続くと思っていた。 「遊貴は高校どこいくんだ?」 「うーん。どこかな・・・このあたりの高校ってどんなとこがあるの?」 俺はクラスで話しかけてきてくれて仲良くなった斡弘に、昼休みに高校のことを聞かれ首を傾げる。 中学3年になった今、家と学校までの間の道や、買い物に行くスーパーなどはやっと覚えられたけど、高校がどのあたりにあって、どの高校がどのくらいの偏差値があるかなんて全くわからない。 目立ちたくない俺はテストなども良くも悪くもない平均点を目標としている。 「今日の放課後時間あるか?」 「うん、大丈夫だけど、どうしたの?」 今日は特に用事はなかったはずだ。 母さんが殆ど家で出来る仕事をしているため、買い出しは俺がばあちゃんとすることはあっても、母さんとばあちゃんで家事がこなせている今は俺がすることは殆どなかった。 「いっちゃんに頼んで高校の資料見せてもらわね?俺も詳しく知らないから資料見たいし。」 「いいよ。あれ?今日部活ないの?」 「今日は部活休み。そろそろ引退になるから引き継いだら終わるけどな。」 俺はなるほど、と思いながら、斡弘と放課後いっちゃんのところに行くことになった。 いっちゃんは俺たちのクラスの担任で若い男の先生だからかみんなに親しまれている。 午後の授業を終えていっちゃんに資料室に連れて行ってもらい、近辺の高校の資料がテーブルの上に並べられた。 「この近辺で通学に1時間以内で選んでみたけど、いくつかあるんだ。学科もいくつかあるけど、普通科でいいのか?」 「うん。大丈夫。遊貴も普通科だよな?」 俺が笑顔で頷くと、テーブルに置かれた資料の中から普通科がある高校だけを残していっちゃんは他をしまっていった。 テーブルに並んだ普通科は5箇所で、そのうち3箇所は私立になるから、俺にはお金がかかりすぎて通えそうにない。 そうすると2つの高校に絞られるわけだけど・・・。
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