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俺はもう志望校はほぼ確定してるから、後は斡弘がどうするかだけだ。
この様子なら斡弘は俺と同じ高校に決めてしまうのだろうと思う。
俺からしたら斡弘が同じ高校に入ってくれるということは、凄く心強いことでもあるから嬉しいけれど、斡弘のためになるかと言われるとわからなくなる。
そんなだから俺は何も言えないまま、斡弘が志望校を決めるのを黙って待っているのだ。
俺は自分が決めた志望校を知るためにパンフレットを開いて内容を見ていく。
こんな数枚程度の紙を見たからといって学校のことがわかるともいえないけれど、基本情報くらいは知ることが出来るとは思う。
「へぇ。ここも結構いいな。うーん。やっぱ俺もこっちにしようかな。部活も楽しく出来そうだし。」
相変わらず斡弘の距離感が近いと思うけれど、男同士で特に言うことでもないかと俺は諦めている。
斡弘は話すようになってからなぜかこうして肩に手を回してきたり、顔を近づけて俺の手元を覗き込んできたりと、スキンシップが多いように思う。
他の人にも似た感じは受けるから、斡弘の友達への接し方なんだろう。
「部活は辛いよりは楽しいほうがいいよね。」
「遊貴もそう思うよな!?俺、遊貴と同じとこ受ける!」
斡弘がそれでいいなら俺は何も言えないけれど、そんな簡単でいいのだろうかとは思う。
部活が辛いよりは楽しいほうがいいというのは俺の本音でもあるから嘘ではない。
まだ日にちはあるから、他に行きたい高校が見つかれば斡弘も変更するだろう。
斡弘は俺と同じ公立高校を志望校に決めてしまい、いっちゃんにお礼を言って帰ることにした。
「遊貴、受験勉強一緒にやろうな!部活引き継ぎさえ終われば勉強に専念出来るし。」
「いいけど、ちゃんと息抜きはしてよ?バスケ出来なくてストレス溜め込まれても俺が迷惑だから。」
引退してもきっと斡弘はバスケが好きだし、後輩からも慕われているから、時々は部活に顔出しをするかもしれないと思う。
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