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引き継ぎとはいってもたいしたことではないらしく、もう殆ど引退しているようなものらしい。
それでもバスケが好きだからと、斡弘は部活がある日は今もまだ行ける日には行っている。
「遊貴がいるからストレスにはならねーな。遊貴といるとストレスあったって消えるから。」
「へ?俺何もしてないよ?」
斡弘はいったい何を言っているのだろうか。
俺がマイナスイオンでも発しているような言い方をされても、俺は機械ではなくただの普通の人間だから全く意味がわからない。
「いいの、いいの。そのままの遊貴でいてくれたら十分だから、な?」
理由を説明してくれるわけでもなく、はぐらかされた気がして、首を傾げるだけで俺は聞き返すのも諦めた。
校舎内でも既に暑くなった季節は、まだ日が沈んでいない外へ出れば余計に暑さを感じ、汗は止まることなく流れていく。
暑いから夏はあまり好きじゃない。
だからといって冬が好きなのかと言われれば、寒いのも苦手だから冬も好きではないのだ。
暑くもなく寒くもない丁度良い季節が一番心地良いと思えるのは俺だけじゃないだろう。
「遊貴、涼しくなるまで家寄っていきなよ。部屋クーラーつけるから涼しくなる。」
「そうだね。少しだけ涼んで行こうかな。」
俺がそう言うと斡弘は凄く嬉しそうに笑った。
何がそんなに嬉しいのかはわからないけれど、ひとりでいるのがつまらないとでも思っているのだろう。
今日は伍樹は用事があるからと授業が終わり次第さっさと帰っていった。
帰り際に何かを言いたそうにしていた伍樹が気になったけれど、少しだけ悲しそうな顔で斡弘を見てからすぐに教室を出て行ったことを思い出す。
伍樹は何か悩みでもあるのだろうかと心配はするけれど、何も話してはくれないならこっちから聞けることでもないのかもしれない。
「問題集コピーさせてもらったんだけどさ、2枚ずつあるから遊貴にもやるよ。今から少しだけでも一緒にやらね?」
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