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水曜日、俺は不機嫌な様子を隠さない伍樹に、今までとは違う場所へと連れて行かれた。
どこまで行くのか不安はあったけれど、きっと斡弘と璃紫さんが助けてくれると自分に言い聞かせ、こっそりレコーダーの録音ボタンを押す。
「伍樹・・・、どこまで行くの・・・?」
「遊貴は黙ってついて来たらいい。俺に逆らうなんて真似はしないほうがいいよ。逃げたらどうなるかくらいわかってるよね?」
俺はこれが最後だから大丈夫だと、心の中で何度も繰り返し自分に言い聞かせながら、前を歩く伍樹の後をついていく。
知らない風景に変わってから目的の場所はすぐだった。
それほど大きくはないけれど、目の前にある倉庫を前にして立ち止まった伍樹に、中身の見えない小さな瓶を手渡される。
「何・・・これ・・・?」
「それ全部飲んで。」
栄養ドリンクかと思えた瓶は、それほど量があるわけではないけれど、伍樹に逆らえる状況でもない俺は、蓋を開けて一気に飲み干した。
俺が飲み終わったのを確認した伍樹が、倉庫の中へと入って行き、後をついていくしかない俺は続いて中に入る。
倉庫の中には5人の男たちが待っていて、伍樹は今までの男たちと変わらず、この場にいる男たちにも接する。
どこでこんな繋がりを持つのかはわからないけれど、伍樹の交友関係がわからなくなった。
今の性格が恋に狂って出来たものだとしても、学校での伍樹も今ここにいる伍樹もどっちも本当の伍樹に見えてしまうのだ。
入る前に飲んだあれはいったいなんだったのだろう。
「話してたやつ、連れてきたよ。」
伍樹が言うと5人の男が一斉に視線を向けてきた。
こ・・・怖い・・・。
自分よりも身長は高く、服の上からは、はっきりとはわからないけれど、身体はがっちりとしているように思えた。
逃げたい・・・でも、これが最後なら、今日で全て終わるはずだから。
怖さを我慢して必死に自分に言い聞かせていると、自分の身体の異変を感じた。
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