プロローグ

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本当だったらお礼ならば他の物を選ぶのが普通なんだろうけど、なぜか俺は箕澤に身につけてもらえるものを選んでしまった。 あんな物をもらって嬉しいはずなんてないのに、なぜ自分がネックレスを選んだのかもわからない。 俺は箕澤に会うことのないまま、中学2年の冬休み母さんと一緒に、この地から遠く離れた母さんの実家へと引越しをした。 俺が携帯を持っていたのなら連絡先を交換して、ずっと繋がりを持っていられたのだろうか。 けれど、俺は携帯を持っていなかったから、俺が引っ越してしまった後にはもう、俺たちを繋ぐものなんてどこにもなくなっていて、箕澤のいる俺が住んでた町は中学生の俺にはすぐに行ける距離でもなかった。 あの謝罪の意味は、ちょうどよくひとりクラスに戻った俺を、自分の性欲処理の相手にしてしまったことだとしたら・・・。 意識が薄れる中に何か言っていたのも謝罪の言葉なのだろう。 俺たちはこのまま会わないことになってよかったのかもしれない。 箕澤、本当はもう一度、話したかった。 それでも、あの謝罪の言葉と、朝起きてから目を逸らされ一度も俺を見てくれなかったことを思うと、もう一度よく話すということが怖くなる。 昨日の出来事は忘れられるものじゃない。 この身体が箕澤に抱かれた時間を覚え続けると思う。 そう考える俺は少なからず箕澤に好意を寄せているのだろう。 箕澤・・・、元気でな・・・。 いつかまた会える日を願って・・・…──────。
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