episode205 迷走幻夜②

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「都合のいい解釈をするな。俺はただ――」 征司は暗い海の色に染まった視線を チラリ僕に落とすと。 「耽りたいんだ。何もかも忘れて」 それこそがきっと 駆け引きなしの本音。 「ただ――耽りたい」 溜息交じり 掠れ声で吐き捨てた。 「お兄様……」 この人は完璧主義な分 どこか不器用で。 「そんなことなら、はじめからそう言って下さればいいのに……」 一途な分 危険な回り道ばかりする。
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