episode205 迷走幻夜②

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「まさか。僕は……」 頭の中で信じたことなど いつだって一瞬のリアルに覆される。 「……あの日の事を思い出していました。それだけ」 過去とはただの概念で 大事なのは今だ。 「俺もだよ」 たとえ互いに少しずつ 嘘をついていたとしても。 「ン……」 真実を語る言葉など 求め合う舌先ほどの意味もない。 「僕らこれからどうなるの?」 「これから?知るかよ」 それなら 未来もまたしかりか――。 「今の今破滅しそうなのにっ……!」 「お兄様っ……!」 言い終わらないうちに 車は急発進した。 「危ないっ……!」 そうして 海に突っ込む寸でのところで 征司は乱暴にハンドルを切って走り出した。
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