episode205 迷走幻夜②

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「大丈夫なもんか……何も解決しちゃいないだろっ……!」 今になって殴られたところが 軋むように痛み出す。 「おい!誰に向かって口利いてる?」 冷たい怒鳴り声とは裏腹。 「アッ……」 僕の身体はふわりと横抱きにされ 柔らかく宙に浮いた。 「……どこへ行くの?」 「さあな。イヤなら海に放り投げてやろうか?」 「やめてっ……!」 見上げれば 挑発的に白い歯をのぞかせる唇。 「それとも――」 悟りきった後に再び 欲望の淵まで下りてきたような瞳をして。 「信用できない俺とイクか?ん?」 この人はやっぱりズルい。 「お兄様……」 朦朧とした僕に 答えを委ねるなんて――。
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