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「大丈夫なもんか……何も解決しちゃいないだろっ……!」
今になって殴られたところが
軋むように痛み出す。
「おい!誰に向かって口利いてる?」
冷たい怒鳴り声とは裏腹。
「アッ……」
僕の身体はふわりと横抱きにされ
柔らかく宙に浮いた。
「……どこへ行くの?」
「さあな。イヤなら海に放り投げてやろうか?」
「やめてっ……!」
見上げれば
挑発的に白い歯をのぞかせる唇。
「それとも――」
悟りきった後に再び
欲望の淵まで下りてきたような瞳をして。
「信用できない俺とイクか?ん?」
この人はやっぱりズルい。
「お兄様……」
朦朧とした僕に
答えを委ねるなんて――。
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