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「まさか。僕は……」
頭の中で信じたことなど
いつだって一瞬のリアルに覆される。
「……あの日の事を思い出していました。それだけ」
過去とはただの概念で
大事なのは今だ。
「俺もだよ」
たとえ互いに少しずつ
嘘をついていたとしても。
「ン……」
真実を語る言葉など
求め合う舌先ほどの意味もない。
「僕らこれからどうなるの?」
「これから?知るかよ」
それなら
未来もまたしかりか――。
「今の今破滅しそうなのにっ……!」
「お兄様っ……!」
言い終わらないうちに
車は急発進した。
「危ないっ……!」
そうして
海に突っ込む寸でのところで
征司は乱暴にハンドルを切って走り出した。
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