第五章 動き出す心

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またもや、やってしまった。 あんなこと言うつもりなんてなかったのに。どうしてかずくんを戸惑わしてしまうんだろう。自分が嫌いになる。 そのために、薫に一成さんを紹介してもらったのに。 これじゃ、一成さんにも悪い。もちろんゆいちゃんにも。 わかっているはずなのに、分かっていたはずだったのに。 あの時。時間がないからって、携帯で時間を確認しているとき、チラッとみてしまったんだ。あのペアでつけているっていうストラップ。 ただのペアじゃなかった。 Y。かずくんであれば、Kなのに。。。 お互いのイニシャルでつけていた。 こんなの言葉で言われなくたってわかるよ。そんなものを目の前で見せつけられて、私は。 ゆいちゃんには一度も会ったことなんてないのに、私の男を取らないでと言われているようだった。少しは気持ちの端っこをもしかしたら繋ぎとめられているって思っていたはずなのに。実際は違った。
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