第五章 動き出す心

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それから淡々と日々はすぎ、気づいたら土曜日を迎えていて、今までは疎かになりがちだった一成さんとのメールは日を重ねるうちに回数が増え、次第にあだ名で呼び合うようにまでなっていた。 かずなりさんっていいうけれども、かずくんだと被ってしまうから、かっちゃんにした。 かっちゃんになっちゃん。いいじゃんそれってお互いにそう呼び合うことにした。 話していくうちに、かっちゃんの親は運送業の社長をやっていて、かっちゃんは大型トラックのドライバーをやっているらしい。毎日、トラックを乗り回しながら、昼夜問わずに仕事をしていて、金銭的な関係でそんなに人を雇えないからって、かっちゃんが色々と融通を利かせているみたい。 人柄もすごく真面目で、笑顔がにあう大阪の兄ちゃんみたいな感じ。 今はスポーツはしていないけれど、社会人サークルで野球をしているみたい。そのせいか、仕事に趣味にお付き合いにと毎日充実していて忙しそう。 だから、彼女を作るっていうよりも、友達が多くて、いい人どまりでいつも終わってしまうって嘆いていた。優しいとは言われるけれど、好きだからしている行動もあるのに、なかなか想いは伝わらないもんだなとか笑いながら話してくれた。 こんないい人勿体無いな。本当に私で大丈夫なのかなとか、会う前からだんだんと不安になってきた。
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