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いつもの10時半。
かずくんの姿がそこにはなかった。会いたくはなかったんだけど、いないのはいないので、寂しい。本当にこの気持ちは複雑で理解しがたい。
「ねぇ。もしかして今日元気ないのってかずがいないからぁ?」
やけに鋭い質問をするみっちゃんにどうも返す言葉がなくって、戸惑ってしまった。
「確かに!俺らが前に騒いでいたとき、二人して黙り込んでいたけど、なんか内緒のはなしでもしてたのか?」
銀ちゃんからも疑いの目で見られていた。
「そんなわけないでしょ!二人がイチャイチャしていたから、私は黙って眺めていただけだよ!」
「えぇー!私と銀次郎がぁ!?!?!」
「こら。銀次郎って誰だよそれ!!!」
「銀次郎ってあんたしかいないじゃん。銀次郎ぉおおお!!!」
仲がいいのか悪いのか。二人を見ていたら、熟年夫婦のように見える時がある。本当に付き合ったらいいのに。そんなこと、口を滑らせても絶対に言えないけれど。
「なっちゃん。かずはねぇ。今日、デートなんだよぉ。」
「なんか京都行くって行ってたよな?」
「いいよねぇ!京都!!私も近いから行けないわけじゃないけれど・・・」
・・・あの子と?京都?
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