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「私、お昼に桐島さんからご指名入ってるのよね。」
「桐島さんっていつも
ワンちゃんと一緒にご来店される方ですか?」
「そうそう。
御近所にお家があるらしくてお散歩がてらに
定期的にトリートメントしに来てくれるのよ。」
「そうなんですね、
花柄さんのヘッドスパ気持ちいいんですもん。
定期的に通いたくなる気持ち分かります。」
そうなのかなぁと笑う花柄さんのポニーテールが
嬉しそうにゆらゆらと揺れていた。
「じゃあ、私ちょっと早いけど
お昼に間に合うように休憩行ってくるね。
どうせ混まないだろうし、お店任せちゃうね。」
そう言って花柄さんは浮かれた足取りで店を出た。
いつもお弁当の花柄さんが外で食べるのは珍しい。
まして、まだ11時にもなってないのに休憩だなんて。
最近季節外れではあるが花柄さんにも春が来たらしく
その噂の彼とランチデートでもするのだろうか。
店に花柄さんが残していったドアのベルの余韻が
自分が今店で1人であることを実感させた。
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