32人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
{2}
と…
そこまで『ノンフィクション小説』を書いた俺は、スマホの電源を一度切って自分のヒヅメでコメカミを軽く押して目の疲れを取った。
俺が趣味で登録しているクリエイター・サイト『N★ナルシスタ』の投稿イベント『猛想コンテスト』の締め切りが、来週の火曜日に迫っていたのだ。
書ける時に書いておかねば…。
まあ、『ノンフィクション小説』と言っても…
誰も信じちゃくれないだろうけどね…。
だいたい、トナカイの俺が小説なんか書くなんて…
我ながら笑ってしまうけど(笑)
と…
「疲れた…もうイヤだ…」
不意に隣で声が聞こえたので、そちらを見ると
俺の相棒のもう一頭のトナカイが、ソリに寄り掛かって高イビキをかいていた。
恐らく…
今のは、ヤツの寝言だろう…。
「俺だって…疲れてるよ…」
俺も、南極の満天の星空を見上げながら呟きを漏らす。
つかの間の休憩時間…。
世界中の子供達にプレゼントを配るという、一年に一度の配布業務はだいたい七割がた、終了していた。
あと少し…。
これが終われば、トナカイなんてヘドが出る姿(今書いた小説では勇ましく美しい姿とは書いたが)から、本来の俺達の姿…
『地獄の番犬・ケルベロス』の姿に、ウチのご主人様の魔法で戻してもらえる…。
そう。
トナカイ以外でソリを引く動物と言えば…
やっぱり、イヌでしょ(笑)
俺達、ケルベロスは本来、頭が三つ有り…いわば、一匹でありながら三つ子である。
今、俺の二匹の兄弟は、
ウチのご主人様の魔法で石化させられ俺の頭の上に『二本のトナカイのツノ』として、めちゃくちゃ不自由な思いをしている。
「兄弟達…もう少しの辛抱だ。ガマンしてくれよ…」
最初のコメントを投稿しよう!