第1章

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*副会長朝霧 天羽視点 「だから好きな人が出来たのに!あおちゃんが僕とは似合わないとか無理だみたいに言うから!」 好きな人? 憧は好きな人が出来たのですか? 僕は思わず込み上げる目頭の熱いものをグッとこらえた。 この子に特定の誰かが出来るだなんて、 きっと油断していたんだ。僕たちは。 大志は怒って素の話し方に戻っているし、春馬も混乱しているようだった。 「ほら言ってみろ、憧。今言えばそいつを半殺し程度で殴ってやる。」 「は、半殺し!だめです!」 「なら探し出して息の根止めるまでだ。」 「どうにかしてください!天羽先輩!大志先輩、ご乱心です!」 そう言って僕の後ろに慌てて逃げる憧。 大志は、ご乱心というかこれが本当の大志だ。 やりたい放題な俺様生徒会長。 それが前までの大志だった。 それが、私達の前に憧が現れてから変わった。 いつだったか。憧が私の話し方が好きだと言ったことがある。 それからだ。大志が変わったのは。 私の口調を真似、品行方正な生徒会長を演じた。 俺様な大志が本来の自分を曲げてでも手にしようとした。それほど憧を想っているのだろう。 だからこそいつまでも憧に振り向いてもらえず、ここに来て他の男に憧のハートを持って行かれたという事実は辛いだろう。 私も、今まで大切にしていた憧への恋心が行き場をなくしたようで胸のあたりがとても痛い。
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