第1章

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どこだー? 「あ!いた!」 彼は調理場で銀食器を磨いていた。 いやだ、かっこいい。 「憧御坊ちゃま、どうされたのですか?」 大きな声を出した僕に驚いた様子の王子様。 いけない。お淑やかにするんだ僕。 「あのね、貴方に紅茶を入れて欲しくて。」 「私に、ですか?」 「うん。以前お客様から頂いたグリーンダージリンがいいな。ミルクはなしでお願い。」 「かしこまりました、憧御坊ちゃま。」 「ありがとう。そういえば貴方のお名前は?」 「‥これは失礼いたしました。私は園城 大和と申します。」 「大和‥ではこれから大和と呼んでもいいですか?」 いきなり呼び捨てだなんて大胆だったかな。 「光栄でございます。」 恭しくお辞儀をする大和。 でも、なんだか 大和、僕を目の前にしても何も思わないのかな。 こんなに綺麗で可愛くて美味しそうな僕が目の前にいるのにときめく様子もなくて、目の前の笑みもどこか他人行儀。
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