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「サタンさーん、着替え終わりましたか」
部屋の外からリズの呼ぶ声が聞こえる。
「はい」
と答えたのを確認すると、リズは扉を開け部屋に入ってくると大きく開いていた口はなぜか閉まり、少し眉間にしわを寄せた。何か変だったのか、彼女に渡されたサンタといえばこれだろうというスタンダード中のスタンダードで、先ほどチャイムの音とともに飛び出していったサンタたちが着ていた赤い衣装を身にまとっているはずなのに。
「あー、サタンさんはとても綺麗な髪色だから服がかすんでしまうみたいですね」
そう言ってリズは微笑んだ。だが、彼女の眉間からしわは消えていない。
自分が彼女をだいぶ困らせているのではないだろうかと思うといたたまれない気持ちになってしまった。
「そうですよね、きっとサンタさん向いてないんですよ」
サタンがそういうとリズはそんなことはないと懸命にフォローをした。だが、フォローをされるほど彼の気持ちは落ち込んでいった。
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