サンタと森

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タコは沈んでいく。 タケルを縛っていた足は拘束力をなくしスルスルと抜ける。 タケルは急いで人魚のもとへと駆け寄った。 人魚をそっと地面に寝かせた。 人魚は何かを伝えようと口をパクパクしている。 「ごめんねぇ、何言いたいかわかんないや」 タケルは人魚の細く美しい腕を手に取り逆方向へ力いっぱい折り曲げた。 「ぐああぁぁぁあああおおあぉおぉぉぉぁぁ」 人魚の言葉にならない声が響きわたる。 あまりの痛みに目からは涙があふれている。 タケルはその涙をそっと人差し指ですくうと、そっと呟いた。 「ありがとう、サンタのお兄さん。人魚の涙さえ手に入れば、弟の治療費くらい簡単にまかなえる。これで助かる」 サタンの初任務は無事に完了した。
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