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12月23日
某ハローワークにて
私はここで仕事を探している人に、仕事を探したて挙げてマッチングする素敵な仕事をしている。今日もまた早朝からせっせとお仕事。
「1番の方―、どうぞ」
そう声をかけると机越しに私の前にかけたのは、真っ黒な恰好をした若い男性だった。雪のように白い肌、強く叩けば折れてしまいそうな細い首や腕。そのまま背景と同化して一枚の美しき絵画になってしまうような男には似合わない、鮮血で染め上げたような真っ赤な頭髪に目がひきつけられる。黒いからなおさらだった。私はしばらくの間、二人の間には沈黙が流れその間ずっと彼に見入っていた。
男が顔を上げ頭髪と同じ色の真っ赤な瞳を私に向けそっと呟いた。
「仕事ください」
沈黙の中発せられたはずなのに聞き取るのがやっとの小さな声に私は、はっとして業務を再開する。
男のプロフィールに目を通す。
名はサタン。住所不定。年齢不詳。趣味なし。特技なし。
男のプロフィールはほとんどが彼について教えてくれるものではなかった。だが、私は一ついい就職先が浮かんでいた。なんせこの時期だ、人手が多いに越したことはない。それに私は長年の経験のから分かっていた。この男ならきっと立派にやり遂げてくれると。
「サンタさん!サンタさんしませんか」
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