サンタと森

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眩しい。カーテンの向こう側に入った瞬間に光が差してきたため目を開くことができない。少し伏せ目にして自分の居場所を確認する。足元には草原が広がっていた。右足で地を何度か踏みしめてみる。柔らかいクッションのような草の下に固い土を感じた。 少し目が慣れてきたのだろう、徐々に目線を上げることができた。辺りは背の高く濃い茶葉のような木々がそびえていた。柔らかな追い風が吹くたびに葉同士が当たり音を立てている。風が吹いているはずなのに布の気配がしない。後ろを向くと通ってきたカーテンは既に消えていた。 もう戻れない、そう覚悟を決め手元にあったタブレットに電源を入れてみる。 真っ暗だった画面に依頼書が表示された。 依頼書に添付されていた写真にはチョコレートのような色の髪をもつ少年が映っていた。少年の名前はタケル。12歳。男。願い、大切な人を助けてください。 映っていた情報はそれだけだった。 いまいちシステムを理解できていないためこれからどうすればよいか分からなかったが、これが初任務、失敗しないようにと意気込み木々へと向かった。
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