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完全に、渕上達がいなくなってから言われた。
「もう大丈夫だぞ、彼女?」
そう言って私の顔をのぞき込むのは、私を腕の中で守ってくれたお方。
(瑞希お兄ちゃん!)
名前を呼びたいが呼べない。
(設定上、呼べない・・・・!)
〔★面倒な設定だ★〕
葛藤(かっとう)する私に、瑞希お兄ちゃんは気遣うように声をかけてきた。
「ん?どうした?まだ怯えてんのか?」
そう言うと、よしよしと頭をなでてきた。
なでられる。
(ああああ!?そうやって、甘えたくなるようなことするからぁ~~~~~!)
犬猫じゃないけど、なでられて嫌な人はいない!
特に好きな人からだと、余計そうなっちゃいそうで~~~~!
(今の私は菅原凛なのに、凛道蓮の時と同じ対応では困っちゃ~♪・・・・あれ?)
頭の上を、よしよしされていたのだが、違和感を覚える。
(なんだか・・・・・・・・・・・いつもとなで方が違う・・・・・・?)
いつもなら、もっと手が密着度している!
触れ方も、しっかり触ってくる!
それが今は、接触がすごく軽いいんですけど!?
(なんで!?男と女だと、こんなに触れ方が違うの!?)
〔★セクハラになるからだ★〕
(もしかして、私が凛道蓮じゃないから!?だから、しっかりなでててくれない!?まさか、凛道蓮の時だからこそ、本気でなでてくれてる!?あーん、やだぁ~♪私ってば、やっぱり愛されてる~)
〔★凛は意味を理解してない★〕
「真田先輩~そいつ、平気っすか?」
かすかな違いに気づいたところで、カンナさんがこちらにやってきた。
「おい、お前大丈夫か?」
「え・・・?」
私へと、顔を近づけながら聞く友達。
「あっ!?」
(ち、近い近い!近いよ、カンナさん!顔バレするよ~!)
バレるとマズイ!
「へ、平気です!ありがとうございましたっ・・・!」
だから、いつもよりワントーン高い声で答える。
〔★小さな工夫だった★〕
うつむいたまま、高めの声で言えば、カンナさんは顔を離す。
「気にすんな!あたし、あいつら大嫌いなんだよ!罵れてよかったわ~」
「そ、そうですか・・・」
〔★あまり聞かない『よかった』だ★〕
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