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ホッと胸をなでおろす私の側で、瑞希お兄ちゃん達の会話は進む。
「すまねぇな、高千穂。完全に任せちまって・・・・今度、なんかおごってやるから。」
「あははは!気にしないでくださいよ~真田先輩の頼みなら、喜んでしますから!」
「ありがとな。高千穂こそ、遠慮すんなよ?なんかあれば言えよ?」
「そんじゃ~モニカが先輩派遣してください!日焼け止め探してんすけど、どれがいいか迷ってんすよ~」
「ははは!日焼け止めか~?高千穂も女子だな~?わかった、言っておく。」
「あざーす!じゃあそういうことで、決まりっすね!」
取引成立に、カンナさんが嬉しそうに笑う。
「そんじゃ、あたし行きますけど、きーつけて下さいよ!?」
「わかってる。カンナも、気をつけろよ。」
「転んだら起きますって!おい、そっちのお前!」
「え!?」
(私!?)
私を見ながらカンナさんが言う。
「お前、渕上にいじめられてんだったら、先公じゃなくて、あたしのところに言って来いよ!」
「え?」
「あたしは、高千穂カンナ!東山高にいるから、いつでも泣きついてきな!」
(カンナさん・・・)
男前なハンサムガールに、胸が熱くなる。
「あ、ありがとうございます、高千穂さん・・・・!」
彼女の気遣いに、うつむいて板をさらに下に下げながらお礼を言う。
声のトーンも私とわからないように高めに発する。
「ばーか、泣くなよ?」
ふいに、聞える声が近くなったと思えば、ポンと頭に手を置かれる。
「元気出せよ、学生!またな?」
私の頭をナデナデしてから離れた。
「あ・・・・。」
顔を上げた時、彼女の後姿が見えた。
それが見えなくなった時、大きなバイクの音が響いて消えていく。
バイクで立ち去ったのだとわかった時、私は瑞希お兄ちゃんと2人きりだった。
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