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視線が重なった時、ふいに瑞希お兄ちゃんが言った。
「彼女・・・・君って、なんか似てるね・・・・」
「っ!?だだだだ、だれにでしょう!?」
完全に声がうわずる。
これに瑞希お兄ちゃんは、眉をハの字にしながら見てくる。
「誰って・・・・まぁ、そうだな・・・・」
そう言って黙ると、いきなり私からカバンを取り上げた。
「貸してごらん。」
「あ!?なにを!?」
「近くに、なじみの店があるんだ。そこで君の手当てしよう。」
「い、いいですよ!そんな・・・」
「よくない!」
再び断れば、とても強い口調で言われた。
「よくないんだ・・・」
「え・・・?」
そう告げる顔は、寂しそうだけど笑っている。
「君を見て思いだしたんだ・・・最近、全然会えない弟のこと。」
「おっ!?」
(弟!?)
瑞希お兄ちゃんから、弟がいると言う話は聞いてない。
ご両親がいない話は聞いてるけど、兄弟情報はまだ。
それでも、私には心当たりがあった。
彼が言う『弟』に。
(そ、それって・・・・・!?)
「お、弟さんとは・・・?」
「ああ。すっげー手がかかって、危なっかしいけど、俺を慕ってくれる可愛い小動物だ。」
「小動物・・・?」
「あははは!恥ずかしがり屋で、いつもマスクで顔隠してんだ。あとな、時々、トンファーも振り回すなぁ~!」
「っ!?」
マスク!?
トンファー!!?
そ、それは~どう考えても間違いなく・・・・・・・
(私よね・・・・・・・・・・・・・・!?)
〔★凛1人しかいない★〕
笑顔で、嬉しそうに話す彼に、夢を見る。
小動物で、会えない弟って、私でいいんだよね・・・・!?
「つーことで、助けさせてくれ♪おいで!」
そう言って、私へと手を差し出してくる瑞希お兄ちゃん。
「はい・・・・♪」
私が迷わず、その手を取ったのは言うまでもない。
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