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衝撃
翌朝、凛は慎太郎からもらったメモ帳を見つめたまま大学へと通学した。
8号館6階、凛の所属する岡部ゼミ室横の大きなソファに凛はドッと腰を掛ける。
「あの話の流れからするとこの番号はやっぱり・・・琴音のだよな・・・。」
深いため息をつきながら頭を抱える凛。
メモ帳には何度も握りしめたシワが広がっている。
いくら考えても答えなど出ないと分かっていても電話をかける勇気などない。
今更何を話せというのか、そんな気持ちばかりが募る。
「講義出ないとな。やれやれ喉も乾いたなまったく・・・。」
凛が時計をふと見上げると、時刻は12時55分を迎えようとしていた。
3限の開始時刻は13時である。
「そろそろ行くか…2階だっけな?」
ソファから立ち上がり、凛はメモとシラバスを見ながら階段を降りる。
それから4階を過ぎた頃、後方から女子の声が聞こえ始めた。
「~君かっこよくない!?」「そうかな・・・私は別に・・・。」
くだらない女子の男査定か、そう思い黙々と階段を下りる凛であったが、
3秒後、事態は急激に変化した。
「きゃあああああああああ!!」
甲高い叫び声が8号館に響き渡る。
凛の耳には、すぐ近くで、そして頭上から聞こえたような気がした。
「あぁ!?なんだ・・・!?」
すかさず振り返ると・・・そこには顔面に向かってくる足があった。
ズダァン!!
避ける暇もなく凛は階段中腹の踊り場の壁に背中を激しく叩きつけられる。
凛の所持していたメモやシラバスも散らばる。
「ぐ・・・お・・・なん・・なんだ・・・。」
痛みで視界が霞むも前を見ると、
そこには落ちてきたらしい女子が泣きながら何かを叫んでいる。
何を言っているのか分からない、耳に声が入ってこない。
そして凛はそのまま気を失った。
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