夢現

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夢現

「んあ・・・・?」 目を覚ますと、そこには知らない天井があった。 「あら、目を覚ましたのね、大丈夫?」 ベッドの横に白衣の老婆がそこに立っていた。 「・・・えーと一体何の話で・・・」 凛は起き上がろうとする。 「いっだああああ!な、なんだ!?」 背中全体に激しい痛みが走る。 一体何が起きたのか分からず、全身を見る凛。 左鼻には鼻栓が詰められ、腕や背中には大きな湿布が貼られていた。 「あなた階段から落ちたのよ、覚えてないかい・・・?」 そう言われ、凛は直前の記憶をハッと思い出す。 「そうだ!あの時降ってきた女子は!?怪我とかしてそうだけど・・・。」 凛が心配そうに周囲を見渡しその子を探し始めると、 老婆は笑って凛をベッドに押し倒した。 「あの子なら大丈夫・・・腕と足の打撲程度よ、今の今まであなたの傍でずっと泣いてたのよ。私のせいだ私のせいだって言いながらね・・・今はちょっと外の空気を吸いに行かせてるわ、あなたも見た目ほどの怪我じゃないから安心なさい・・・ひとまず、今はゆっくりそのベッドで休むといい、次第に痛みも和らぐはずだから・・・。」 その時、凛は不意に何かを思い出し、ベッド横にあった自分の荷物を取る。 「ちょっと待ってください、荷物、これだけですか!?てかここは!?」 突然慌てふためく凛。 「一体どうしたというの、体に響くわよ・・・それからここは大学の保健センターで 私はそこの保険医の佐伯、ひとまずお茶でも入れるわ、ゆっくり話してちょうだい。」 渡された一口お茶を飲むと、凛は次第に落ち着きを取り戻した。 「自分の落とした荷物の中に、メモはありませんでしたか?」 佐伯は記憶を辿るようにゆっくりと口を開いた。 「メモねぇ・・・あなたと例の女の子が運ばれてきた時、教授が2名いてねえ・・・ 心理学の水野教授と日本国憲法の小坂教授だったんだけれどもね、 小坂教授があなたをお姫様抱っこで運んで来て先に水野教授が足を痛めた女の子と あなたのカバンとこの大学のシラバスを持ってきただけだけ、だったかしらねえ。」 カバンの中にメモはなく、佐伯の説明からもメモがあったとは考えられない。 ならば他の第三者が存在している?一体何のために・・・。 凛がそんなことを深く考え込んでいると、 突如 キィ・・・という音を立てて保健センターのドアが開いた。
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