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開いた扉の向こうにはとても小柄の女性が立っていた。
どういうわけか目にいっぱいの涙を溜めている。
「あら、戻ってきたのね・・・。彼、目を覚ましたわよ。」
佐伯はゆっくりと立ち上がり彼女を笑顔で招き入れた。
どうやら俺にぶつかってきた女子が戻ってきたらしい。
「あの・・・大丈夫ですか?本当にごめんなさい・・・。」
その女子はポロポロと涙をこぼしながら凛のベッドへ歩み寄った。
「ああいえ・・・大した怪我ではないそうですからご安心ください・・・。」
凛がそういうと、女子はそこにへたり込んで泣き崩れる。
「よかった・・・よかったよぉ・・・死んじゃったかと思った・・・。」
「いやあの大丈夫ですからもう泣かないで・・・。」
その時、凛はその女子の手に自分の落としたメモと
よく似た紙が強く握られていることに気が付いた。
「あれ・・・すみませんその紙って・・・。」
凛がその女子に問いかけると、思い出したように女子は話し出す。
「うっ・・・階段に落ちて・・・たんです・・・ひっく・・・この紙・・・
でもちょっと・・・気になることがあって・・・。」
「気になる?」
涙を堪えながら必死に話す女子に精一杯耳を傾ける凛。
「この紙・・・落とされたのはあなたですか・・・?」
「えっと、確かによく似た紙は落としましたが中には何が?」
「携帯の・・・番号です・・・。」
紙に携帯の番号が書いてあるだけで何が気になったというのか。
凛にはさっぱり理解が出来なかった。
「えっと・・・失礼ですがそれのどこが・・・。」
その直後、彼女の口から飛び出した言葉に凛はとても驚いた。
「これ・・・私の番号なんです・・・。」
「!?(なんですかその超展開!?ちょっとまって嘘だろこの人琴音!?)」
口をあんぐりと開いたまま固まる凛。
「この番号・・・どうして・・・あまり知ってる人はいないはずなのに・・・。」
「・・・・(身長は変わってなさそうだけどこの人ほんとに琴音か!?
いや待てあの時慎太郎が俺に教えた番号が琴音のだとは限らないじゃないか!
そうだこれはきっと別人だ!別人に違いない!だってそんな漫画や小説みたいな
都合のいい展開起こるはずないもの!)」
「私、最近この大学に編入きてきた円井琴音と申します。
今日は本当にごめんなさい、ご迷惑おかけしました・・・。」
「(本人かよおおおおおおおおおおお!)」
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