前編 『嫌いな人』

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赤城京介24歳。 大学を卒業してまだ1年しか経ってないが、本社の社長の息子ということで年下だが上司だ。 それなのに私より仕事ができ、最近は怒られてばかり。 だけどミスばかりするこちらが悪いのだから、怒られるから嫌いなのではない。 そこまで私は子供ではないのだ。 ならなにが嫌いかというと、なにかと私を見下してくるところだ。 人のミスを指摘することで自分がどれだけ優秀かというアピールをしてくる。 次期社長という者が部下を見下していいものだろうか。 「今日もバッサリ言われてたね」 「由利」 私の隣の席の村岡由利は同期の中で1番仲がいい。 「でも、課長って他の女子から人気なんだよ。 顔はいいし、将来有望だし、クールだし」 「だとしてもあの人は絶対嫌。 性格がねじ曲がっている。 絶対奥さんも見下すタイプだよ。俺のいうことに逆らうな!って」 「あー、ありそう」 この仕事は好きだ。 ミスばかりでよく怒られるが、それでも楽しい。 でもそれは赤城課長が来る前の話で、赤城課長が早く本社に行かないかなと思うこの頃である。
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