第一面 勇者

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(1) 「優、ご飯出来たわよ」 一階から母親の声が聞こえた。 木下優(きのした まさる)はパソコンでやっていたゲームを中断した。マウスから手を離し、椅子に寄りかかって背伸びをした。 パソコンのディスプレイに表示された時刻を見ると、午後12時15分だった。 「このゲームも飽きたな。そろそろ違うゲーム探さなきゃな」 優はため息をついた。 今やっていたゲームはシューティングゲームで、画面上に現れる敵の戦闘機を撃ち落としていくゲームだった。 ここ三日間はご飯を食べる時と寝るとき以外はずっとこのゲームをやっていた。 彼は近所の市立中学校の二年生であったが、2ヶ月前から学校に行っていない。 いわゆる不登校である。
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