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でも、横浜に来ているからといって、菅野さんに会うことはまずないだろうな。
「そうですね、お忙しい方ですから。それよりも、あそこに素敵なカフェが見えるんですが。休憩しませんか?」
表情で考えてることがだいたい分かってしまうのはホームズさんの癖だが、言い当てられてドキッとする反面、説明しなくても楽でいいかな、と思ってしまうのは慣れたせいだろうか。
「わあ、ほんとに素敵なカフェですね!行きましょう!」
道向かいに見えたお洒落なカフェに入ることにした。
カラン、とドアベルの音がして。
「いらっしゃいませ」
カウンターの中に、それはそれはビックリするくらいのイケメンが立っていた。
「すみません、カウンターしか空きがないんですが、よろしいでしょうか」
「ええ、大丈夫です」
ホームズさんとイケメンのやり取りを聞きながら、コクコクと頷いた。
店内に目を向ければ、明らかに女性が多めだった。
「葵、浮気はあかんで」
耳元でホームズさんが囁いたので、
「ちょ、そんなつもりないです!」
思わず大きめな声が出て、慌てて口を押えた。
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