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「勿論です。同じ夢を追いましょう」
一層輝く笑みで母親は答えた。
嬉しそうに頷き、頑丈なレギンに付いて行く男は小さく母子へ手を振る。
「バイバイ、お兄ちゃん」
明るい声と共に振られる手を見て、もう問題は解決したのだと周りにいた者達も思い思いに散って行く。
ニアも明るく笑って母子と手を振り合って別れると、新しい身体になったレイティアに走り寄って滑らかな体毛に覆われる腕に取り付いた。
「この姿のレイティアも好き」
「課題の続きをこなしましょうか」
柔らかな声での提案に、ニアは素直に図書館へと向かう。
「彼って、すぐに戻って来るのかな」
個人ブースに自ら入り込みながら、ニアは会話の方に勢いを傾けた。
手元のノートは広げたまま、一文字も書き記してはいない。
「社会に戻っても暴力を降るわないと判断されれば直ぐでしょうね」
レイティアの答えに笑い、楽しげにペンを取り上げて猛然と課題をこなし出す。
こうした心の変化は、機械の人には捉えどころが無い。
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