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「うえーん、もうイヤだよう、疲れたよう。同じ記号にしか見えないよう」
机の上に上半身をだらしなく投げ出して、ニアが泣き言を喚き出す。
「ニア、自業自得と言うものですよ。遊びにかまけて今まで課題をこなさなかった貴女が悪いのです」
図書館に設けられた個人ブースにニアを押し込んだレイティアはにべもなく答える。
計算ではこのまま後二日を乗り切れば、彼女が自分に課せられた夏休みの宿題をこなせると分かっている。
「手伝ってよ、レイティア。今度何か奢るからあ」
「私共はそうした勧誘に乗りませんよ」
つれない台詞にじんわり涙を浮かべた目を恨めし気に向けてから、ニアは再びペンを手に取ると開いていたノートへと向かった。
泣き言を喚こうが、どんなに頼み込もうが、レイティア達は決めた事に関しては厳しい。
決してぶれる事なく、物事をやり遂げさせ様とする。
だからこそ目の前の興味に逃げてしまうニアでも、宿題などのノルマを今までこなして来たのだから信頼が有る訳だが、やはり恨めしい。
ふうううぅうーと、ニアが大きく息を吐いた時、突如自分以外の静寂を破る音が外から響き渡って来た。
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