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続く悲鳴と怒号、幼い子供の声。
「ニア、ここに居て下さい」
「やだ、あたしも行く。レイティアだって身体が柔らかいんだから危ないでしょ。あたし、すばしっこさには自信が有るから」
先に動いたレイティアの後を追ってニアも走り出す。
図書館前から響いて来た音に表情は硬い。
対してレイティアの表情に変化は無く、危険を感じているのかすらも分からない。
唯一の知性体が支配した世界から、分化した種族ごとの知性体が育まれる遥かなる未来。
そこには血肉の通った種族をサポートする、レイティア達機械の人が存在する。
貴重な命を失わない為に。
心を持ち、他の命を育む技術をも発展させて来た知性を護る為に。
知性を持つ者は往々に好奇心が旺盛だ。互いを知ろうとし、僅かな違いが争いの元となる。
調整者としての位置づけを成され、分化した種を守る為に機械の人は存在し、種ごとの間に起こる争いを治める役割も担っていた。
殆どの生命が滅び掛けてから、長い時を掛けて新たに繁栄の兆しを見せ始めた世界に、古い時代から引き継がれる機械の人達。
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