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「神様何て居ないんだよっ。んなモンが存在するなら、そいつはとことん意地悪で、テメエ等みたいな弱っちいのは見捨てられるんだっ」
一人がなり立てているのは、誰が見ても分かる大柄なハイブリッドの男。
そして子を背に隠し、細い体で立ちはだかる母親と思しき若い女性。
「おやめなさい」
母子と男の間に割り込んだレイティアに向かって拳が叩きつけられた。
男の暴力が、瞬時に矛先を彼女へと変えて振るわれたのだ。
嫌な音が響き、レイティアの身体が傾ぐ。
殴られた胸部にへこみが出来ていた。
「は、機械の人かよ。テメエは簡単に壊れるタイプの癖に、ノコノコ出て来るんじゃねえよっ」
凄まじい怒りの表情で再び暴力が振るわれる。
その度にレイティアの身体にへこみが増えて行く。
遠巻きに見る者が顔を背ける中、ニアが走り寄り母子を男の前から引き離した。
レイティア達が痛みを感じないと知っていても心は痛む。
ニアは自分が傷付けられているかの様にしかめた顔をしながら、母子と一緒に安全を確保出来る機械の人の側へと避難した。
実際レイティア以外にも、騒ぎに駆け付けた機械の人は道行く者を安全に避難させている。
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