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「分かるよ、……何となくだけどさ、分かる。アンタ等はオレ達を無駄に傷付け様とはしない。常に護り導こうとする人達だって教わって来たし、実際にそうだ」
今のレイティアの姿は、先程までの姿とはまるで違う。
丸く滑らかな曲線で形作られながらも、金属と一目で分かるメタリックなボディから、ゲーム・ファンタジーに出て来る様な短い毛並みに覆われた姿に変わっている。
白猫をモチーフにし、福猫と呼ばれる金と銀の、実際には青と黄色の瞳を与えられていた。
優美な長い尾が、静かに揺れる。
男が自分から動くのを待っているのだ。
自分が壊した機械の身体に眼を向け、男は深い溜め息を吐き出す。それから、最初に暴力を見境なく振るった母子を人垣の中から見つけ出し、悲しそうに顔を歪めた。
子供はきょとんとした表情を見せている。
何が起こったのか理解が出来ていないのだろう。
機械の人が全て繋がっているとか、死なないとかは既に何度も聞いているだろうが、目の前で入れ物たる身体を替えて現れる場面は、そうそう見られるものではない。
ネットワークで繋がる機械の人ならではの特技。
壊れた身体と新しい身体を見比べ、更にじっと男を見ている。
「お兄ちゃんの神様はさみしいの?」
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