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不意の質問だった。
他意の無い言葉は素直なままに続く。
「だって、さみしい人は構ってほしくて意地悪するんだよって、ママが教えてくれたよ」
子供の言葉に男は目を見張り、やがてぎこちない笑みを浮かべた。
その通りだと言う想いが有る。
男はハイブリッド種。
近縁の、本来なら交わる事の無い種族の間に生まれた子供で、次の世代に命を繋げれない一代限りに終わる種だった。
誰かを好きになっても、その問題故に誰とも親しくなれない孤独が、刹那的な感情に走らせる要因になっているのだ。
歪に作られた命だと感じる自分と同じ異種交配間の子供を見掛けた途端に、何故オレの様な存在を産んだのかと母親に対する怒りが沸き立ち、突発的な暴力行為に身を任せてしまったに過ぎない。
どうせ、オレは何にもなれないと諦めて。
苦しむ未来を背負った子供を殺し、オレも世界から排除されてしまえば良いと考え。
「……ゴメンな、本当は神様何て良くは知らないんだ。それに寂しかったのはオレだ」
ニアは、我が子の肩をしっかりと掴む母親と顔を見合せる。
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