序:事乃始

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――30分以上も扉を叩き続け、やっと観念したのだろう。大家の姿は消えていた。 犬崎はそっと廊下を確認して、ほっと安堵の息を吐く。 「やれやれ……しつこいヤツだ。扉が壊れたら、どう責任を取るつもりだよ」 扉の安否を確認し、音をたてないように外へ出る。 「気を取り直して、パチでもやりに行くとするか」 懐からガムを1枚取り出して口の中へ放り込んだ、その時 「一体なにやってるんですか、犬崎さん」 「――ッ!! お、大家か?! いや違うんだ! 家賃は必ず今月中に――」 犬崎は後ろから急に声をかけられた。 慌てて振り返ると、そこには女子高生の姿が。 「なんだ、オマエか……ビビッて損したぜ……」 「なんだとは、なんですか! 本当に失礼ですよね、犬崎さんって!!」 手足をバタつかせて怒る彼女の名は【如月 未夜(キサラギ ミヤ)】 前回の事件をきっかけに未夜は度々、犬崎の事務所に遊びに来ていた。
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