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やっとの思いで合格した高校だった。
俺の中学三年間の惨憺たる成績では、合格するのはほとんど無理だと、担任の教師から言われていた。それに自宅から通うのは遠すぎる、と両親やその他の教師たちからも、申し合わせたようにさんざん反対されたのだ。
でも俺は、オープンキャンパスでこの高校を訪れた時から、なぜだか、どうしてもここじゃなきゃだめだって、はっきり心が決まっちゃってたんだよ。
そして、実を言うと勉強はあまり得意じゃなかったんだが、なぜだかその時だけは頑張る気になれて、短い期間に俺の出せる力はすべて出し切ったつもりだった。
その努力が認められたのか、それともまぐれだったのか、なんとか希望通りに合格することができたんだ。
入学式の後、教室での最初のホームルームを終えて、他の新入生たちと共にがやがやと廊下を歩いていた時だった。
ちょうと左側に扉があって、その上に『ボランティア部』と書かれたプレートが貼りつけられているのを俺は本当に何気なく横目で見て(ふうん)と思ったのだった。
ボランティアなんて、その時の俺にはまったく縁がなかったからな。特に関心も起こらなかったんだ。
その時、突然その扉がバタン、と開いて、上級生らしい制服姿の学生が二人、俺達の前に飛び出してきた。
そのうちの一人が、ちょうどドアの前にさしかかっていた俺とぶつかりそうになった。
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