年賀状(2021年)

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年賀状(2021年)

2021年 元旦SS 「……あのさ、今朝起きたらこんなものがそっと枕元に置かれてたんだが、ナニコレ」 「僕の枕元にも置いてあったよ」 「サンタさんか」 「今年のサンタはちょっと遅刻したのかもね」 「…………これ着るべきなのか?」 「おそらく」 「マジか……男子高校生にさすがにこれはきつくないか?」 「親の期待にこたえるのも子の役目だよ」 「親の期待が重い…。つーか、俺はあんたみたいな孝行息子じゃねーし」 「そうかい?(とか言って、ちゃんと着替えてあげるくせに…)」 「……なんだよ」 「いや、なにも?」 「……(絶対ろくなこと考えてねぇ)」 「……(僕の弟は可愛げがなくてかわいいなぁ)」 973afecb-2c4d-49a6-a98a-9880d5186471 「案外、違和感がないものだね」 「いやいやいやいや…あんたはともかく俺はどーなんだ」 「似合ってるよ」 「それ、褒められてもうれしくないヤツな。てか、兄貴こそ似合いすぎてて逆に怖いわ」 「どんな装いも無難に着こなすのが紳士の嗜みだからね」 「……たしなみ(牛の着ぐるみも着こなす紳士とは一体…)」 『カケル』 『…テル!?』 『今なにをしておる』 『な…なにって…』 (牛の着ぐるみを兄貴とお揃いで着てるなんて言えるか!!) 『べ…べつに…なにもしてねーよ』 (なぜこのタイミングでコンタクトしてくんだよ) 『………なにか隠しておるな』 『え!?(なぜバレた!?)……なにも隠してねーって。つか何か用かよ』 『用がなければ話しかけてはならぬのか』 『いや…まぁいいけどよ(発言が面倒くさい彼女みたいだな…。俺もいいのかそれで)』 『挨拶を…‥したかっただけだ』 『?』 『親しきものには元旦に挨拶をするのであろう?』 『――』 『あけまして、おめでとう、と』 『っ…』 『……おまえは言ってくれぬのか?』 『――あけましておめでとう、テル』 『……うむ』 『今年も、よろしく』 『よろしくしてやろう』 『ふはっ、今年も早々に上から目線だな』 『なんだそれは?』 『偉そうってことだよ』 『……我は魔王だからな。偉くて当然だ』 『はいはい(笑)』 END
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