春染

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あぁ…。 陽景が知ったら殺される…。 向陽に知られたら鉄拳制裁を受ける…。 ごんっと机に勢いよく頭をぶつけながら突っ伏した。 隣で遼が驚いた顔をしてこちらを見ている。 うー、と唸っていると、ある事を思い出した。 …私何も悪いことしてない、よね… だって、クラス編成は私にはどうしようもないし… もし玲尹と慶斗も鳳凰だったとしても、メール見る前に話し掛けちゃったし… …う、うん。私は悪くない…。 無理やりそう思い込むと、起き上がった。 「陽彩?」 遼がじっと私を見ていた。 「ん…?」 おでこを擦りながら目を合わせると首を傾げた。 「おでこ、大丈夫?」 「んー…たんこぶ出来てなければ」 体を横に向けると、美璃ちゃんもこちらを見ていた。 心配そうにおでこを見ている。 「ふふ。大丈夫だよ」 にっと笑ってみせると美璃ちゃんもつられて笑ってくれた。 その肩越しに番犬君もとい彪牙と目が合った。 彪牙は殺意を込めた目で私を睨むと、目を逸らした。 うーん、良い具合に嫌われたようで良かった良かった。 内心安心していると、遼が時計を見た。 「10時か…腹減ったなぁ…」 「ん、何か買いに行く? 売店あったよね?」 ぐっと伸びながら聞くと、遼はぱっと笑う。 「お、付き合ってくれる?」 「もちろん」 美璃ちゃんも誘おうかと見ると、彪牙がすかさず睨む。 「私達ももうそろそろ行かなきゃなので大丈夫ですよ」 美璃ちゃんは苦笑いしてそう言った。 「んんっ、りょうかい」 私達は美璃ちゃんと連絡先を交換すると、美璃ちゃんの笑顔と彪牙の殺気に見送られて教室を出た。
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