春染

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「あー、美味かった!」 満足気な笑顔で伸びをする遼。 そんな遼の口の横にこしあんとクリームがついてるのを見て堪えきれず笑った。 「遼、付いてるよ」 お腹を抱えて笑いながら、口の横を指さしてあげる。 そしてカーディガンのポケットに入ってたティッシュを差し出した。 遼は「え!」と叫び、ティッシュを受け取ると、高速で拭いた。 そして何事も無かったかのように、深く息を吐いて窓の外を見た。 私は笑いながら、飴を舌で弄んだ。 「お、もう11時…あと2時間か」 遼がスマホで時間を確認した。 ほー。13時からなのか 私はウォークマンを取り出して、片方のイヤホンを耳につけた。 そしてお気に入りの音楽を流して音量を少し上げる。 「ちょっとお昼寝しまふ…」 宣言してから、近くの長椅子に器用に寝転び、目を瞑った。 「え、ちょっ」 遼の慌てた声が聞こえたが、私はすぐに意識が浅くなって行った。 「秒速で寝やがった…」
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