春染

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「おぉ、優等生。みんな早いね」 教室内は全員揃っていた。 席に座ると、その直後に先生が教室に入ってくる。 私はお菓子袋を鞄に詰め、飴のゴミをゴミ箱へ向けて投げ捨てた。 見事シュート。 「それじゃ、今朝言った通りだ。番号順で並んで俺の指示に従って体育館に行くぞー」 …番号? 今朝寝ていた私は首を傾げた。 先生はそのまま出ていく。 それに続いてみんなも立ち上がり、廊下に出て行き始めた。 「陽彩、席順だよ」 見兼ねた遼がそう教えてくれる。 「おお、そういうこと!」 私は納得すると、遼と一緒に教室をでた。 前の席の玲尹を探すと、廊下の後ろの方で、黒髪のさらさらストレートの男の子を見つけた。 相変わらずの無表情だ。 整った端麗な顔は崩れることなく、気だるそうに列に並んでいた。 私はその後ろに行って並んだ。 「4組についてけー」 前の方で先生がそう指示した。 背の低い私は前が見えないため、玲尹の大きな背中をただ追いかけた。
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