春染

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「知り合い?」 叶耶が首を傾げてこっちを見た。 「クラスメイト」 とりあえず俺と叶耶も中庭に入り、近寄る。 外は風に吹かれて桜が舞っていた。 きらきらと光に照らされ、反射しながら散る桜はとても綺麗だった。 桜なんてじっくり見ること無いからなぁ… 「くしゅっ…」 ふと、陽彩が小さなくしゃみをした。 自分の小さな身体をぎゅっと抱き締めている。 少し寒いのか、さらに縮みこんだ。 「ここでずっと寝てたら風邪引くよね」 カーディガンを着てはいるけれど、まだ春だから肌寒い。 「……連れてく」 玲尹が買い物袋を叶耶に押し付け、陽彩をそっと抱き起こした。 驚いたのは俺も叶耶も同じで。 玲尹が女子に触るとは思わなかった。 しかもお姫様抱っこと呼ばれるものまでして…。 心底驚いて、叶耶と二人で目を合わせた。 「…行くぞ」 玲尹はそのまま中庭を出ていった。
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